作品研究 え

★★★★・ AIR【えあー】

ゲームが原作。テレビアニメ版と劇場版の2つのアニメが存在する。テレビアニメ版では日本一短いことで知られる紀州鉄道が登場。登場人物が線路を道がわりに歩くシーンがある。登場した小川に架かる橋梁の実物は、残念ながら既に撤去されている。その他、列車のおもちゃが描かれるシーンがあるが、そのおもちゃのモデルとなったのも、紀州鉄道のキハ603気動車である。残念ながらこちらも既に引退済みである。

テレビアニメ版には他にも京都丹後鉄道の由良川橋梁を渡るシーンがある。同線を走るKTR700形の車内もリアルに描かれている。

劇場版でも鉄道は登場するものの、特に実際の風景を元にしたものというわけではないようだ。

余談であるが、線路への立入については、鉄道営業法第37条に「停車場其ノ他鉄道地内ニ妄ニ立入リタル者ハ十円以下ノ科料ニ処ス」との記述があり、10円以下の科料を請求される可能性がある。なんだ10円か、だったら別に入ってもいいや…と思っていると、実は「罰金等臨時措置法」なる法律があって、平たく言えば「10円ってのは明治時代の貨幣価値で10円なので、現在はたとえ10円って法律に書いてあっても10円以上請求しちゃってOK♪」的な記述がある。つまり10円では済まない。ついでに、実際になんらかの事故を起こしてしまえば自分の身が危険にさらされるだけでなく、列車の遅延や車両の破損などで損害賠償を請求される可能性もある。くれぐれも線路には入らないようにしよう。なお、同シーンの線路は物語の中でも実物もすでに廃止された線路であり、実際にやっても同法の適用は無いと思われる(が、軽犯罪法の構成要件に該当する可能性はある)。

【関連作品】KanonCLANNAD

★★・・・ エア・ギア【えあ・ぎあ】

週刊少年マガジン連載のマンガ。アニメ化もされた。主人公達が、コンピューター制御のモーターを内蔵したローラースケート(エア・トレックと呼ばれる)をはいて町中を走り回っている。彼らはそれぞれ暴風族(ストーム・ライダー)と呼ばれる集団を形成しており、そのシンボルマークはエンブレムと呼ばれている。……世界観の説明がめんどくさい。

で、ツバメがくわえていってしまったエンブレムを奪還すべく、エア・トレックで追いかけるのだが、ツバメの飛行速度が速くて追いつけない。そこで電車の屋根に飛び乗り、ツバメをトンネルの中へと誘い込む。トンネルの中で電車が巻き起こす風を利用してツバメを失速させ、ついでに架線からエア・トレックのモーターに電気を流して自らは加速し、見事エンブレムを奪い返したのであった。めでたしめでたし。

賢明な読者の皆様は既にお気づきだろうが、架線の電圧はおそらく直流1500Vである。そんな架線に接触しようものなら加速するどころか人間なんぞ一瞬にして黒こげであろう。その前のシーンでも、登場人物が電車の屋根上に立っているシーンがあるが、よくあれで架線に接触しなかったものである。また、明らかに運転室から主人公達を確認できるだろうというシーンもあったのに、電車は何事もなかったかのように走り続けている。運転士は何をやってたんだ。

登場する電車はおそらく211系。先頭車にパンタグラフがあることから5000番台と思われる。なぜか先頭から2両目の進行方向側にも乗務員扉が付いている(先頭車を2両続けて同じ方向に連結しないと同位置に乗務員扉は来ない)。ちなみに単行本の2巻に収録のエピソード。

★・・・・ H2O【えいちつーおー】

アニメ版でのお話。作中で踏切事故が発生する。ボールを追いかけて遮断機が下りた踏切に入ってしまった子供。それを助けようとするヒロイン。叫ぶ主人公。が、主人公の叫びもむなしくヒロインは列車にはねられてしま…ったのかどうかはよくわからないのだが、多分感動するべきシーンなのだろう。しかし、感動しようにも列車の描写が残念すぎる。片側2ドア(両開き)、4次元戸袋、パンタグラフ無し。しかも推定20両編成くらいある。床下と車体の比率も明らかにおかしい。

★・・・・ エースをねらえ!【えーすをねらえ!】

主人公は女子テニス部の部員。鉄道を利用して合宿に出かけているが、その列車、数分で描いたんじゃないかと思うくらいにテキトーな列車である。せめてスクリーントーンぐらい使ってあげて欲しい。この作品に限ったことではないが、少女マンガは殊に鉄道に関する描写が適当である。